競合データから導く価格戦略の再構築
- Afya Management and Innovation

- 1月15日
- 読了時間: 4分
― 市場の中で“選ばれる価格”を、データで見極める ―

価格設定は、医療機関の経営において最も悩ましいテーマの一つなのではないでしょうか。
「利用者を集めるために、もっと安くするべきか」「収入を上げるために、値上げしたいが、大丈夫だろうか」「私たちの提供価格は、他院と比べてどうなのだろうか」などといった問いに対して、明確な答えがないままに、最後は「勢い」で価格変更の決断をする、という施設もあるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、競合データを活用して価格戦略を再構築する考え方を解説したいと思います。先にポイントを共有しますが、「自院単体で考えない」ことが大切です。
まず自分たちの“商圏”を起点に考える
弊社の過去のコラムで取り上げた顧客データ分析により、「自分たちのメイン商圏」 がすでに見えてきているはずです。
価格戦略を考える際は、全国の医療機関や、無関係な施設と比較する必要はありません。
重要なのは、
自院の商圏の中で、同じようなサービスを提供している競合はどこか
を見極めることです。
実際に利用者が比較対象にし得る施設はどこか
同じ人間ドック(あるいは類似サービス)を提供している施設はどこか
ここを間違えると、価格戦略そのものがズレてしまいます。
何を軸に競合を評価するのかを決める
競合分析で最も難しく、かつ重要なのは、
「どの軸で競合を評価するか」を明確にすることだと思います。
人間ドックを例にすると、以下のような軸が考えられます(施設によって異なりますので、ヒントとして参考になれば幸いです。)。
価格
表示価格・オプション追加後の実質価格
オプション選択の自由度・パーソナライズの度合い
どこまで利用者のニーズに合わせられるか
医療機関の規模・ブランド
病院かクリニックか、知名度や安心感
付加価値
フォローアップ、説明の丁寧さ、体験の質
すべてを同時に比較する必要はありません。
「自院が勝負したい軸」 を決めることが重要です。
競合も、自院も「マトリクス」で可視化してみる
前回の「収益性マップ」と同様に、競合分析でも マトリクス化 により可視化することが有効です。
例として、このようなマトリクス図を作成してみてはいかがでしょうか。
横軸:価格
縦軸:パーソナライズ度(またはサービス自由度)
このマトリクス上に、
自院
商圏内の主要競合
をプロットしてみてください。
すると、市場の中での自院の立ち位置 が見えてくるのではないでしょうか。
「自分たちは、どこにいるのか」が見える
マトリクスを作ることで、これまで感覚的だった問いが、具体的になってきます。
例えば
価格は高いが、付加価値は十分か
価格競争に巻き込まれていないか
強みを価格に反映できているか
多くの場合、ここで初めて「今の市場における適切な価格帯」が見えてきます。
重要なのは、“一番安いかどうか”ではなく、“どの位置で選ばれるか”という視点です。
市場を見て初めて、価格戦略は語れる
価格は、原価と利益目標だけで決められるものではありません。
市場(競合)・顧客の認識・自院の強み
この3つが重なったところに、「納得される価格」が存在することをぜひ念頭にお考えください。
競合データを踏まえた上で価格を見直すことで、
値上げの合理性
値下げを避ける判断
価格据え置きの意味
を、経営する立場として説明できるようになります。それは、データによって裏付けられることで、判断に深みが出ることを示します。
おわりに
競合分析は、「他院と比べるため」ではなく、
自院の価値を正しく価格に反映させるために行うものです。
「商圏を起点に競合を特定し、評価軸を定め、マトリクスで可視化する。」
このプロセスを経ることで、 市場における“自院らしい価格戦略” が見えてくるのではないでしょうか。
本コラムが、価格についてお悩みの経営者様の参考になれば幸いです。
ご質問や、貴施設のお悩みに対する相談のご要望は、いつでも承ります。
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