顧客データ分析で見える「満足度」と「離脱」の法則
- Afya Management and Innovation

- 2025年12月10日
- 読了時間: 4分
― 顧客を深く理解することが、選ばれ続ける医療機関をつくる ―

医療機関の経営改善において、「顧客を知る」ことは最も基本でありながら、最も難しいテーマでもあります。第2回では、顧客データをどのように整理し、どんな経営判断につなげるべきかを、実例を交えながら解説します。
顧客データを整理するだけで “見えなかった構造” が姿を現す
医療機関には、日々の診療や健診業務を通して膨大な顧客データが蓄積されています。しかし、多くは活用されずに残っています。
まずは、以下の「基本データ」を整理することで、利用者の傾向が明瞭になります。
1.顧客を理解するための基本データ
① 住所(商圏分析)
利用者の 80%が施設から何km圏内に住んでいるか
どの地域が“強い”のか、“弱い”のか
商圏が明確になることで、
広告配信エリア・企業健診アプローチ・アクセス改善策 などの判断に確かさが生まれます。
② 人口形態(年齢・性別など)
利用者の属性データを整理すると、自院がどの層に強く支持されているかが分かります。
40〜55歳男性 → 生活習慣病リスク意識が高い層
30〜40代女性 → 美容・予防医療への関心が高い層
つまり、
“誰に支持されているか”=“自院の価値が届けられている層”
を把握できます。
③ 利用されているサービス(強み)
どのコース・どのオプションがよく利用されているかは、
自院の強みそのもの を示します。
特定コースが高稼働
特定オプションと組み合わせ利用が多い
ある時間帯に人気が集中
こうした特徴は、価値創出の源泉を示す重要な情報です。
④ 利用されていないサービス(弱み)
未利用サービスこそ、改善のヒントが眠っています。
認知不足? 必要性の説明が不十分?
他院の方が魅力的?
価格・説明が適切でない?
弱みを知ることは、改善の第一歩です。
2.基本データを「時系列」で追うことで、変化の兆しが読める
顧客データの価値が最大化されるのは、“変化を見るとき” です。
① 利用は増えているか?減っているか?
プレミアムコースの利用は増加傾向
あるオプションは減少
土日利用が急増している
これは、市場(ニーズ)の変化のサインです。
② サービスごとのトレンドの違い
総数の変化が小さくても、内訳は大きく変化していることがあります。
低価格コースが減り、中価格帯が増加
ある年代層だけが伸びている
女性利用の増加が顕著
サービス構成を最適化する根拠となります。
③ 居住地別の変化(競合の影響)
住所データを時系列で追うと、競合の動きが読み取れます。
A地区からの利用が大幅減 → 競合クリニックの台頭か
B地区からの利用が急増 → 他院のサービス縮小か
データは、競合地図を描くヒントになります。
データから得られるものは、「現状把握」だけではない
ここまでの分析によって、
“今、何が起きているのか”と“これから何が起こるのか”
のヒントが得られます。
しかし、データの価値はそれだけではありません。
3.収益性向上や戦略立案にも直結する“実践的データ活用”
① 収益性の高いサービスの利用率を高める施策を設計できる
向かいたい方向性(例:高収益メニュー強化)が明確な場合、
顧客データは非常に有効です。
例えば:
利用者の属性を分析 → どの層が高収益コースに移行しやすいか
過去の行動データ → どのオプションが“入口”になりやすいか
時間帯別の傾向 → どの枠で誘導しやすいか
顧客理解が深まるほど、
「どう誘導すべきか」 の精度が上がります。
② 市場ニーズに応じた“新たな収益性の高いサービス”も作れる
データ分析によって、利用者の課題や希望が見えてきます。
例:
30代女性が増えている → 女性特化型コース
心疾患リスクの高い層が多い → 循環器フォーカスドック
企業健診のニーズが増加 → 法人プランの新設
つまり、
利用者の特性に合わせた「新サービス」創出も可能 になります。
③ 顧客特性に合わせて“刺さる広告・営業”が分かる
顧客の特徴が分かれば、
「何を伝えると響くのか」
を科学的に考えることができます。
40代男性 → 疲労・生活習慣病リスクを重視した訴求
30代女性 → 自己管理・ウェルビーイング訴求
企業 → 従業員の健康投資のROI訴求
広告コピーも、営業トークも、“当て勘”ではなく
データに基づいて最適化できる時代になっています。
おわりに
顧客データの分析は、医療機関の“現状を理解するため”だけのものではありません。
これから進むべき方向性を示し、収益性向上の戦略をつくる土台でもあります。
次回は、この顧客理解をさらに発展させ、
「収益性マップ」(Profitability Map)を用いたメニュー最適化 をテーマに解説します。


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