データが語る“選ばれる医療機関”とは?
- Afya Management and Innovation

- 2025年11月24日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年12月31日
― 医療経営の意思決定を「感覚」から「確信」へ ―
医療機関を取り巻く環境は、近年ますます複雑さを増しています。患者・利用者のニーズの多様化、労働力の逼迫、保険診療収益の変動、予防医療への高まり──。こうした変化の中で、
「選ばれる医療機関とは何か」
という問いは、経営者にとって避けて通れないものになっているのではないでしょうか。
これまでの医療経営は、経験や現場感覚に基づく判断が大部分を占めていました。しかし、医療機関が直面する課題が複雑になるにつれ、その判断にはより精度と再現性が求められるようになっています。規模の大きい医療施設が、外部の経営コンサルタントを利用するようになっているのはその流れを示しているのではないでしょうか。
このような時代の医療経営にとって有用なものの一つに、データに基づく経営判断(Evidence-Based Management) があります。

“選ばれる理由”は、データが静かに語っている
人間ドックの利用動向、外来の患者属性、部門ごとの稼働状況、職員配置、収益性の差、検査コースごとの価値評価など。
医療機関には、実は膨大なデータが存在しています。しかし、多くの施設ではそのデータが「判断材料」として使われていません。もったいないですね。理由の多くは以下のものに大別されます。
活用できると認識されていない
整理・見える化されていない(紙媒体で保管されているケースも多いです)
複数システムに散在している
分析する人材が不足している
その結果、「忙しいのに利益が出ない」「どこに投資すべきか分からない」「患者の離脱理由が把握できない」という状況が起きやすくなります。
一方で、逆に、データを適切に活用できる医療機関は、以下のような特徴を持っています。
データ活用が進んでいる医療機関の特徴
利用者の“選択の理由”を知っている
高収益領域と改善すべき領域がすぐに分かる
適切な職員配置で業務負荷が安定
サービス改善の決断がスピーディに行われる
価格戦略やキャンペーンの成功率が高い
新規の投資判断に迷いが少ない
これらは、データの構造を正しく読み解く力によって支えられています。
データ分析が経営判断を変える3つの視点
そこで、医療経営におけるデータ活用の実践例を、人間ドックをはじめとした自由診療領域を題材にしながら紹介していきます。
その根底には、次の3つの視点があります。
① 顧客を知る(Customer Insight)
利用者の「選ばれる理由」「離れる理由」「再来する理由」を、データから可視化する視点。
年齢、性別、利用頻度、支出額
オプション検査の選択傾向
利便性の評価
再来意向、満足度スコア
これらを組み合わせることで、“利用者の本音”が見えてきます。
② 収益を知る(Profitability Insight)
全てのサービスが同じ価値を生むわけではありません。同じ人間ドックでも、コースによって収益性は大きく異なります。
収益性マップ(Profitability Map)
利用率 × 利益率の相関
高収益メニューへの誘導
適切な価格変更の判断
投資対効果(ROI)の最大化
経営判断には、「どのサービスがどのくらい価値を生んでいるのか」 を理解することが不可欠です。
③ 業務を知る(Operational Insight)
部門の稼働状況、職員配置、業務フローなどの“見えにくい非効率”を可視化する視点。
検査枠の最適化
ボトルネックの割り出し(待ち時間に大きく寄与する箇所)
職員配置の偏り
過剰投資/不足投資の発見
業務フローを数値でとらえられると、“改善の一手”に迷いにくくなります。
本シリーズで扱うテーマ
これから、複数のコラムに分けて(以下のテーマで)、医療経営の「データ分析×意思決定」を体系的にご紹介していきます。
データが語る“選ばれる医療機関”とは?(本コラム)
顧客データ分析で見える「満足度」と「離脱」の法則
収益性マップで見るメニュー最適化
競合データから導く価格戦略の再構築
AnyLogicによるキャパシティ分析とROI試算
AIが支援する次世代の経営判断
医療におけるデータ活用は、決して難解な分析の話ではありません。本質は、“より多くの人に、より良い医療体験を提供するための意思決定”にあります。
本シリーズが、貴施設の未来を考えるヒントになれば幸いです。
貴施設のデータを用いた分析についてのご相談をご希望の場合は、問い合わせフォームよりお問い合わせください。


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