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GHIを理解するための前提整理:Scopeと算定方法

  • 執筆者の写真: Afya Management and Innovation
    Afya Management and Innovation
  • 3月24日
  • 読了時間: 5分
産業設備とボイラー設備の外観。医療機関におけるScope1(燃料燃焼による直接排出)を示すイメージ。


GHIコラム第2回では、GHI実装の7つのステップをご紹介しました。


その中で、


  • Scope1 / Scope2 / Scope3

  • location-based / market-based



といった用語が登場しましたが、これらはGHIの実務を理解する上で非常に重要な概念です。


本コラムでは、この2点を整理します。




1. Scope1 / 2 / 3とは何か



温室効果ガス排出は、排出源の違いによってScope1 / Scope2 / Scope3の3つに分類されます。




■ Scope1:直接排出



医療機関が自ら「直接」排出する温室効果ガスです。


たとえば:


  • ボイラーでの燃料使用(都市ガス・重油などを燃やした際に排出される温室効果ガス)

  • 自家発電設備(軽油・重油・ガスを燃やした際に排出される温室効果ガス)

  • 病院車両

  • 麻酔ガス



ポイントは、これらが**「医療施設の内部において発生している温室効果ガス」**という点です。




■ Scope2:間接排出



医療施設が購入したエネルギーに伴って間接的に排出されるものがScope2に区分されます。


たとえば:


  • 電力使用

  • 蒸気・冷暖房の外部供給



つまり、実際に温室効果ガスの排出は発電所などで発生しています。




■ Scope3:その他の間接排出



サプライチェーン全体で発生する排出です。


たとえば:


  • 医療材料・医薬品の製造

  • 外部委託サービス(給食・リネンなど)

  • 廃棄物処理

  • 出張・通勤



一般的に、最も排出量が大きくなりやすい領域です。




■ 医療機関の特徴



多くの業界ではScope3が最大ですが、医療機関は:


  • 24時間稼働

  • 空調負荷が大きい



という特性から、Scope2(電力)も非常に大きくなります。


したがって、GHI第2回コラムで紹介した実装7ステップのうちのステップ2「ホットスポット特定」においてフォーカスポイントを特定するにあたり、Scope1 / Scope2 / Scope3すべてを並べた上で、排出量が多いものを特定することが重要になります。




2. location-based / market-basedとは何か



これは主にScope2(電力)の算定方法の違いです。




■ location-based(地域平均ベース)



地域の電源構成に基づいて排出量を算定します。


「この地域で電力を使用すると、平均的にどれだけ排出されるか」を示す、物理的・構造的な排出量です。


該当地域・該当年において公的に定められた「排出係数」を使って算出を行います。




■ market-based(契約ベース)



電力契約や証書に基づいて排出量を算定します。


「どのような電力を、どんな割合で使用することを選択したか」によって排出量が変わります。


具体的には、使用する電力の一部を「再生可能エネルギーを使用する」と電力会社と契約することで、該当する電力については温室効果ガス排出がゼロであると申告することになります。


つまり、再生可能エネルギー契約を温室効果ガス排出削減の戦略として使用する場合には、このmarket-basedによって算出された二酸化炭素換算量を提示する必要があります。




3. location-basedとmarket-basedの本質的な違い



この二つの実務的な違いは「計算に使用する排出係数の違い」にあります。


ただし、これらの違いは単に係数が異なるだけではなく、以下のような違いもあることを留意する必要があります。




■ 何を表しているかの違い




location-based



社会全体としての排出構造を表しており、「その地域」で「その時」に電力を使うとどうなるか、ということを示しています。



market-based



経営判断の影響を表しており、「どの電力を選んだか」を示しています。




■ 証明責任の違い




location-based



二酸化炭素換算量算出には公的係数を使用しますので、以下のような特徴があります。


  • 客観性が高い

  • 証明が容易





market-based



二酸化炭素換算量算出は契約内容によって異なりますので、以下のような準備が必要です。


  • 電力契約書

  • 非化石証書(RECなど)

  • 電力量との整合性



つまり、エビデンス管理が必要になります。




■ 削減戦略の違い



両者は「改善アプローチ」そのものが異なります。



location-based



シンプルに使用量削減を目指します。つまり、省エネルギーを目標にします。



market-based



使用する電力の調達変更を目指します。つまり、再生可能エネルギーの導入を目標にします。




4. 具体例で理解する



同じ電力使用量でも、契約によって排出量は変わります。


たとえば、年間電力使用量が100,000 kWhである場合:




■ location-based



排出係数として0.45 kgCO₂e / kWhを使用した場合、二酸化炭素換算量は


100,000 × 0.45 = 45,000 kgCO₂e




■ market-based(再エネ30%)



たとえば、以下の内訳の契約をしている場合:


  • 通常電力 70%

  • 再エネ 30%



計算:


通常電力

70,000 × 0.45 = 31,500 kgCO₂e


再エネ

30,000 × 0 = 0


したがって、二酸化炭素換算量合計は31,500 kgCO₂eとなります。


ここでの注意点は、再エネ比率は任意に設定するものではなく、購入した再エネ電力量(kWh)によって決まるという点です。



つまり、たとえ同じ使用量でも以下のように結果が変わります。


  • location-based:45,000

  • market-based:31,500



では、JCIのGHI対策として、二酸化炭素換算量を算出する際、どちらを使用するべきでしょうか。




6. GHI視点での使い分け



基本的には、location-basedで算出し、現状を把握します。


翌年からの削減量把握にも同じ算出方法を使用し、使用する排出係数の選択には前年と同じ論理を使用します。


一方で、戦略的に再エネ契約を変更することによって削減を行った場合には、その効果をmarket-basedで示していくことになります。


つまり、location-basedとmarket-basedを両方示します。


この2つを併せて使うことで:


  • 現状

  • 改善

  • 経営意思



を説明できるようになります。




まとめ



  • Scope → 排出源の分類

  • 算定方法 → 評価の仕方



この2つを理解することで、どこに手を打つべきかが見えるようになります。




次回(第3回)に向けて



では、実際に排出の大部分を占めるのはどこなのでしょうか。


多くの医療機関において、その答えは院内ではなく、Scope2およびScope3です。


第3回では、Scope3と持続可能な調達(GHI.04)に焦点を当て、現実的かつ実装可能なアプローチを解説します。第3回コラム配信時に、配信の即時お知らせをご希望の方は、ページ下部の「subscribe to our info」欄より配信希望メールアドレスをお知らせください。



※本コラムの内容は、JCI第8版で新設されたGHIの現時点での公開情報および審査動向に基づき整理したものです。GHIは新設章であり、今後の審査実績や解釈の整理に伴い、本コラムの内容は更新される可能性があります。あくまで参考情報としてご活用ください。




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ここまでご覧いただきありがとうございました。

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