「なぜ、いまJCI認証なのか? ― 質の高い医療と持続可能な経営のために」
- Afya Management and Innovation

- 2025年3月16日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年11月2日
JCI(Joint Commission International)という言葉を耳にしたとき、多くの医療機関の皆さまは「世界基準の認証」というイメージをお持ちになるでしょう。そのイメージ通り、認証取得により、外部からの信頼獲得につながることが期待されます。しかし一方で、「本当に自分たちの施設に必要なのか?」「取得には膨大なコストや労力がかかるのでは?」という不安や疑問も、同時に湧いてくるのではないでしょうか。
本コラムでは、JCI認証コンサルタントが考える、「JCI認証の本質的な価値」、「JCI認証の現実的なメリット・デメリット」、についてご紹介します。

JCI認証とは
JCI(Joint Commission International)認証とは、米国に本部を置く非営利団体「Joint Commission」が世界の医療機関向けに提供する国際的な医療施設認証制度です。1994年に設立されたJCIは、患者の安全と医療の質を国際基準で評価するために設けられ、現在では100か国以上、1,000を超える医療機関が認証を取得しています。
JCIの評価は、医療のプロセスや結果だけでなく、感染対策、ガバナンス、職員教育、リスク管理体制などの組織全体の安全文化と品質管理能力が対象となります。そのため、単なる外見的な「きれいさ」や「設備の新しさ」ではなく、医療の内側の信頼性が評価されます。
特に、医療ツーリズム(インバウンド患者)の誘致を目指す施設にとって、JCI認証は「国際的な安全・品質保証マーク」として非常に有利に働きます。患者や保険会社、海外の医療紹介エージェントからの信頼を得やすく、競争力を高めることができます。
JCIコンサルタントが考えるJCI認証の本質的な価値 ーJCI認証とは単なる「お墨付き」ではない
国際水準の安心・安全を提供する医療機関として、JCI認証は「ブランド構築」の柱ともなる存在です。
しかし、重要なのは、「JCI認証は目的ではなく、手段である」ということ。「外部からお墨付きをもらう」ものとして利用するのではなく、「自らの課題を明らかにし、未来のある持続的な医療体制をつくるための道具」として活かすことです。
JCI認証取得を目指すにあたって、現状を見直し、改善し、さらにこの改善を定着させるための仕組みが構築されます。つまり、組織全体が変わるきっかけとなります。
以下に、JCI認証の「メリット」および「デメリット」を記載いたします。JCI認証取得に関する一考の助けとなれば幸いです。
JCI認証を取得することの“5つのメリット”
患者様の安全と満足度の向上
組織的なリスク管理体制が整い、インシデントが減少
医療ミスや情報の断絶が減り、患者様からの信頼が向上
スタッフの意識とチーム力が向上
SOP(標準業務手順書)や教育プログラムが整備され、行動の一貫性が高まる
職種横断での連携がスムーズになり、働きやすい環境が生まれる
経営の見える化と意思決定の迅速化
KPI/QI(重要指標)の導入で、経営や医療の状態を数値で把握
数値に基づく意思決定が可能となり、無駄のない組織運営へ
組織のブランド力強化
国内外からの信頼が向上し、医師・看護師の採用にも好影響
医療観光や提携の機会にも有利に働く
持続可能な病院経営の土台作り
業務の標準化が進み、業務効率化とコスト削減が実現
クレームやトラブル対応に追われる“消耗型の組織”から脱却
JCI認証の「デメリット」や懸念
初期投資と人的リソースが必要
JCI認証内容理解のための翻訳対応、文書整備、サーベイ対応などに多くの時間と人手が必要。
小規模施設では職員の兼任負担が重くなる場合もある。
過度な形式主義に陥るリスク
「書類づくりが目的化」「現場より文書優先」になってしまうと、現場の士気が下がる。
実効性よりチェックリスト重視にならないよう、バランスが必要。
文化的・宗教的慣習との不整合の懸念
一部の基準は地域慣習と合わないことがある。
柔軟に「JCIの意図」を読み解き、自施設に合った形での実装が求められる。
維持管理の継続が必要
一度認証を取得しても、更新審査やPDCAの継続的運用が求められる。
「3年に1回のイベント」ではなく「日常業務への組み込み」が前提となる。
終わりに
「うちの規模では無理だろう」「職員が疲弊するのでは?」など不安を抱かれるかもしれません。しかし、私たちが支援してきた数々の施設も、最初は皆さんと同じ悩みを抱えていました。実は、JCIは施設の規模や宗教的・文化的背景に柔軟に対応しながら導入することが可能です。
また、「最初の一歩」として現状分析(ギャップアセスメント)だけでも行う価値があります。自分たちの医療が、どの位置にいるのか。そこに気づくことから変革は始まります。
JCI認証に関してご質問などがございましたら、コンタクトフォームよりお気軽にお問い合わせください。




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