JCI第7版から第8版へ ―「認証取得」から「守り続ける力」が、より明確に問われる時代へ
- Afya Management and Innovation

- 2025年12月30日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年12月31日

すでにJCI認証を取得されている医療機関にとって、「更新」は決して新規取得の繰り返しではないという現実に向き合っているのではないでしょうか。私たちも、これまでJCI認証コンサルタントとして医療施設様の支援を行う中で、更新だからこそ直面する特有の難しさを目のあたりにしてきました。
取得時には満たしていたはずの基準が、基準改定により、気づかないうちにズレてしまっている
方針・手順・教育・KPIは存在しているが、最新版のJCIが求める「意図」や「実効性」と噛み合っていない
担当者が異動していたり、体制が変更してしまっていることにより、当初の思想や運用ノウハウが継承されずに途絶えてしまっている
JCI更新とは、「維持してきた運用を点検し、最新の国際基準に再び適合させるプロセス」であり、そこには新規取得とは異なる専門性が求められます。
第8版で何が変わったのか ― 更新施設が持つべき新たな視点
JCI第8版は、第7版の延長線上にありながらも、評価の重心が明確にシフトしていると私たちは考えています。
1. 「整備しているか」から「実効性があるか」へ
第7版では、
方針・手順がある
教育を実施している
記録が残っている
といった “整備の有無” が評価の中心でした。
第8版では、それに加えて、
現場で一貫して運用されているか
データで効果を測定し、改善につなげているか
患者安全・医療の質という「結果」に結びついているか
といった 実効性(effectiveness) が、より厳しく問われます。
2. 「現場の努力」から「組織としての責任」へ
第8版では、医療安全や質を 現場任せにしない という姿勢が明確になりました。
ガバナンス(GLD)
品質・患者安全(QPS)
認証参加要件(APR)
を軸に、経営層・統治主体が、安全と質をどう管理しているかが評価対象として強化されています。つまり、「現場は頑張っている」という説明だけでは不十分で、組織全体としての設計・意思決定・監督が問われるように変更されている、と私たちは認識しています。
3. 「院内完結」から「社会への説明責任」へ
第8版では、患者・家族・市民・社会に対して、
JCI認証が何を意味するのか
どこに相談・懸念を伝えられるのか
病院がどのような責任を果たしているのか
を 説明できること が、明確に求められています。ここは第8版にみられた真新しいポイントだと思います。
APRの強化や、GHI(Global Health Impact) の新設は、JCIが「病院を社会的な存在として評価する段階」に入ったことを象徴しています。「病院が提供する医療が、院内にとどまらず、地域・社会・地球規模の健康にどのような影響を与えているか」という視点が制度として組み込まれ、各医療施設がその視点を持つことが要求されるようになっています。
更新対応で重要になるのは「付け足し」ではなく「再設計」
第8版対応において重要なのは、新しい文書や委員会を“追加”することではありません。
既存の方針・手順が、最新版の意図に沿っているか
KPIやQIが「測るだけ」になっていないか
改善サイクル(PDCA)が形骸化していないか
といった点を見直し、病院全体を第8版の視点で再設計することが、更新成功の鍵となります。 弊社では、JCI認証更新を「通過点」ではなく、持続可能な医療の質と経営を支えるための仕組みとして捉えています。JCIの専門性と医療経営コンサルティングの知見を融合させ、「質の維持・向上」と「持続可能な経営」を同時に実現する更新支援を行っていますので、もしご興味がございましたら、サービスページをご覧ください。
終わりに
JCIの改訂は、単なる「定期的に行われるちょっとした基準改定」ではないと考えています。第8版への改訂は、「認証を取得しているか」ではなく「世界基準の医療を、組織として守り続けられているか」を問い直すアップデート、と捉えられます。
すでにJCI認証を取得している医療機関にとって、更新とは過去の取り組みを否定する作業ではなく、これまで積み重ねてきた実践を、最新の国際基準に照らして磨き直すプロセスです。
一方で、基準は進化し続け、医療の質・患者安全・ガバナンス・社会的責任に求められる水準は、年々高度化しています。その変化に、日常業務を回しながら向き合うことが、決して容易ではないことは、私たちは医療施設様とのやりとりを通してよく知っています。
更新という節目が、皆様にとって、単なる基準対応にとどまらず、病院全体の運営や文化を見直す機会となりますよう願っています。
第8版への対応を検討されている方、あるいは、現行の運用に少しでも不安や違和感を感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
また、第8版で新たに導入された GHI(Global Health Impact) については、別のブログでもご紹介しています。第8版の本質をより深く理解するために、あわせてお読みいただければ幸いです。
>GHIに関するブログはこちら



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