【GHIコラム 第3回】:Scope3と持続可能な調達(GHI.04)― “最も難しい領域”への現実的アプローチ
- Afya Management and Innovation

- 4月30日
- 読了時間: 5分

GHIコラム第1回ではGHIの全体像とその意義を、第2回では実装のための7つのステップを解説しました。また、補足コラムでは、Scope1 / Scope2 / Scope3および算定方法(location-based / market-based)について整理しました。
ここまでで、
事務的な作業としてどう進めていくのか、が見えてきたのではないでしょうか。
そこで、次は
「どこの排出削減にまず取り組むべきなのか。排出の大部分はどこにあるのか」という戦略の具体化、という点に取り組みます。
ここで重要な対象の一つとなるが、Scope3です。
(このScope3についてはGHI04において言及されています)
1. Scope3とは何か、そしてなぜ重要なのか
Scope3は、サプライチェーン全体で発生する温室効果ガス排出を指します。
たとえば以下のような領域が含まれます。
医療材料・医薬品の製造
外部委託(リネン・給食など)
廃棄物処理
輸送・物流
これらはすべて、医療機関の外部で発生する排出です。
医療機関における位置づけ
一般的に、多くの産業ではScope3が最大の排出源となる傾向があり、GHI04において様々な要求項目が記載されています。
(ただし、医療機関は、
24時間稼働
空調負荷が大きい
という特性を持つため、Scope2(電力)も無視できないことには留意が必要です)
Scope3が難しい理由
Scope3への対応が難しい理由は、これらが医療機関の外部で発生する排出であることからやってきます。
自院で直接コントロールできない
データ取得が困難
サプライヤーに依存する
このように、測定も改善も容易ではない領域となっています。
それでも対応が求められる理由
GHI.04では、調達を通じた環境影響の管理が明確に求められています。
つまりScope3は、自院で排出していないから対応しなくてもよい、という領域ではなく、自院外であってもどのように現実的に管理していくかが問われる領域です。
2. GHI.04(持続可能な調達)で求められていること
GHI.04では、主に以下の内容が求められます。
環境基準を含む調達ガイドラインの策定
サプライヤー評価
不要物品の特定(最低3分野)
ディスポから再利用への評価
ここで重要なのは、
求められているのが、すべてを一度に変えることではなく、方針と仕組みを持つこと、という点です。
3. Scope3対応の現実的な進め方
Scope3への対応において、まずお伝えしたいことは、完璧を目指しすぎないことです。
Step 1:カテゴリーを整理する
まず、Scope3を大きな単位で分類します。
例を挙げると
医療材料
医薬品
委託業務
廃棄物
大まかな分類で構いません。まずは、全体像を把握することが目的です。
Step 2:ホットスポットを特定する
すべての領域を詳細に分析する必要はありません。
排出量の多い上位3、もしくは上位5程度の領域を特定し、そこに焦点を当てていきます。
Step 3:代理指標(Proxy)を活用する
Scope3では、正確な排出量データが取得できない場合がほとんどかと思います。
その場合には、代理指標を使用します。
例えば
購入金額に基づく推計
廃棄物重量
発注量
重要なのは、完全な精度ではなく、なぜその指標を選んだのかを説明できることです。
Step 4:調達ガイドラインを整備する
GHI.04の中心となるのが調達ガイドラインです。
例:
環境配慮製品の優先選定
過剰包装の削減
再利用可能製品の検討
購入の基準を明確にすることで、組織としての方向性が定まります。
Step 5:サプライヤーとの関係を構築する
初期段階では、厳格な要求を行う必要はありません。
まずは、
環境情報の提出依頼
簡易アンケート
などを通じて、対話の土台をまずは作ることが大切だと考えています。
Step 6:小さな改善を積み重ねる
Scope3は一度に大きく変えることが難しい領域です。
そのため、
ディスポ削減
在庫最適化
廃棄削減
といった小さな取り組みを継続的に積み重ねることを大切にしていくことをお勧めします。
4. よくある疑問や誤解
■ すべてを測定しなければならない
その必要はありません。優先順位を設定しましょう。
■ サプライヤーをすべて変更しなければならない
現実的ではありません。既存の関係性の中で改善を進めることが現実的な進め方だと考えます。
■ すぐに削減成果を出さなければならない
GHIは短期的な成果のみを評価しているわけではありません。
重要なのは、
方針があること
プロセスがあること
改善が継続していること
です。
5. GHI視点での評価ポイント
JCIはScope3について、排出量の大小だけを見ているわけではありません。
評価の中心となるのは、
調達方針が整備されているか
評価の仕組みがあるか
改善の取り組みが行われているか
という点です。
つまり、環境負荷を管理しているかどうかが問われています。
まとめ:Scope3は“管理の領域”
Scope3は、
規模が大きくなりやすい
管理が難しい
という特徴を持っています。
しかし同時に、経営への影響も大きい領域です。
把握し、指針を持ち、改善のプロセスを特定・認識し、改善が続けられる仕組みを持つこと、が経営にとっても良い一歩となります。
次回(第4回)に向けて
ここまでで、
測定(GHI.03)
調達(GHI.04)
について整理してきました。
しかし、これらは一度整備すれば終わりではありません。
継続して運用される仕組みが必要です。
第4回では、
教育(GHI.02)
レジリエンス(GHI.05)
職員の巻き込み
に焦点を当て、GHIを組織文化として定着させる方法を解説します。
第4回コラム配信時に、配信の即時お知らせをご希望の方は、ページ下部の「subscribe to our info」欄より配信希望メールアドレスをお知らせください。
※本コラムの内容は、JCI第8版で新設されたGHIの現時点での公開情報および審査動向に基づき整理したものです。GHIは新設章であり、今後の審査実績や解釈の整理に伴い、本コラムの内容は更新される可能性があります。あくまで参考情報としてご活用ください。
-------------
ここまでご覧いただきありがとうございました。
弊社ではJCI認証の新規取得及び、更新のコンサルティングサービスを提供致しております。詳細についてはサービスページをご参照いただくか、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。




コメント